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生成AIガイドラインの作り方|社内ルールに入れる10項目と条文例【2026年】

/著者:AI HACK編集部コラム
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生成AIガイドラインの作り方|社内ルールに入れる10項目と条文例【2026年】

この記事の要約と結論

  • 生成AIガイドラインは、使ってよいツール・入力してよい情報・生成物の確認方法を定め、安全に使える範囲を示す社内ルールです。

  • 初めて作る場合は、日本ディープラーニング協会(JDLA)のひな形(第1.1版)を土台に、AI事業者ガイドライン(第1.2版・2026年3月公表)のAI利用者の項目で抜けを確認します。

  • 作って終わりにせず、全社研修での周知と、年1回および新しいツールの導入時の見直しを運用に組み込みます。

生成AIの業務利用は、文書作成・要約・翻訳・プログラミングなど幅広い業務に広がっています。一方で、社員の利用が先に進み、会社としてのルールが追いついていない企業も少なくありません。

生成AIのガイドラインを整えると、社員が迷わず安全に使える範囲がはっきりし、情報漏えいや権利侵害のリスクを抑えながら活用を広げられます。

本記事では、生成AIガイドラインに盛り込む10項目、5ステップの作り方、条文例、作成に使える公的資料をまとめています。さらに、作ったガイドラインを形骸化させない運用のポイントと、作成チェックリストも紹介します。

生成AIガイドラインとは|社内で安全に使うための判断基準

生成AIガイドラインとは、社内で生成AIを使う際の判断基準をまとめた社内ルールです。利用を禁止するためではなく、安全に使える範囲を示して活用を後押しすることが目的です。

ここでは、ガイドラインに盛り込む項目の早見表、利用規程・就業規則との違い、禁止ではなく管理を選ぶ理由を解説します。

生成AIガイドラインに盛り込む10項目の早見表

生成AIガイドラインには、使うツール・入力する情報・生成物の扱い・体制の4つの領域にまたがる10項目を盛り込みます。10項目をそろえると、社員が判断に迷う場面の大半をカバーできるためです。

10項目と、それぞれで決める内容を以下の表にまとめます。

項目

決める内容

参考になる公的資料

1. 目的と適用範囲

対象者(正社員・契約社員・派遣社員・委託先)と対象業務

JDLA「生成AIの利用ガイドライン」

2. 使ってよいツール

許可するツール・プランと承認の手順

AI事業者ガイドライン(AI利用者に関する事項)

3. 入力してよい情報

情報の区分ごとの入力可否と条件

個人情報保護委員会の注意喚起

4. 生成物の確認と責任

事実確認の方法と、社外に出す前の確認者

AI事業者ガイドライン

5. 権利への配慮

著作権・商標・肖像などの確認

文化庁「AIと著作権に関する考え方について」

6. 個人情報の取り扱い

個人情報を入力する場合の条件

個人情報保護委員会の注意喚起

7. AIエージェントのルール

ファイル操作・外部送信・権限の範囲

AI事業者ガイドライン

8. AI利用の表示

社外への成果物でAIの利用を示すか

AI事業者ガイドライン

9. 相談窓口と事故時の報告

窓口の部署と、事故が起きたときの報告手順

JDLA「生成AIの利用ガイドライン」

10. 教育と見直し

研修の頻度とガイドラインの見直し時期

AI事業者ガイドライン

※「参考になる公的資料」は編集部による対応づけ

10項目すべてを最初からそろえる必要はありません。社員数が少ない会社は、1〜3の項目と9の相談窓口から始めると、短期間で運用を始められます。

ガイドラインと利用規程・就業規則の違い

生成AIガイドラインは判断の基準を示す文書で、利用規程は社員が守る義務を定めた社内規程です。違反した場合の扱いを決めたいときは、就業規則や情報セキュリティ規程とつなげた利用規程として定める必要があります。

3つの文書の違いを、以下の表で比較します。

文書

性質

生成AIに関して定める内容の例

生成AIガイドライン

判断の基準・推奨

使い方の考え方、入力してよい情報の目安、活用例

生成AI利用規程

守る義務がある社内規程

許可するツール、禁止事項、違反時の扱い

就業規則・情報セキュリティ規程

会社全体の基本ルール

秘密保持・情報の持ち出し・懲戒の根拠

※編集部作成

たとえば、既存の情報セキュリティ規程に「生成AIへの入力」の条項を追加し、具体的な使い方はガイドラインにまとめる方法があります。ただし、懲戒の根拠にする場合は、就業規則の変更手続きが必要になるため、人事・法務と進め方を決めましょう。

「禁止」ではなく「使える範囲を示す」ルールにする

生成AIのルールは、一律に禁止するより、使える範囲を示すほうがリスクを抑えられます。会社が禁止しても、社員が個人のアカウントで使い続け、会社が把握できない「シャドーAI」が生まれるためです。

たとえば、会社が法人プランを用意し、入力してよい情報を明示すると、社員は個人のアカウントを使う理由がなくなります。ただし、使える範囲を示す場合も、入力してはいけない情報だけは例外なく禁止として書きます。

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シャドーAIとは|事例やリスク、特定手法や実施したい対策【2026年版】

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生成AIガイドラインが企業に必要な4つの理由

生成AIは便利な一方で、使い方を誤ると会社の信用や取引に影響する事故につながります。事故の多くは、社員が判断の基準を持たないまま使うことから起きます。

ここでは、生成AIガイドラインが企業に必要な理由を4つ紹介します。

機密情報・個人情報を入力してしまう

生成AIガイドラインが必要な1つ目の理由は、社員が機密情報や個人情報を入力してしまうリスクがあるためです。サービスによっては、入力した内容がAIの学習に使われる設定になっていることがあります。

個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、事業者が個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、利用目的の範囲内かを確認するよう求めています。あわせて、入力した個人データが機械学習に使われないことを確認するよう示しています。

※個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)より

ただし、法人プランで学習に使われない設定になっていても、取引先との契約で第三者への提供が禁じられた情報は入力できない場合があります。

生成物の誤りをそのまま社外に出してしまう

2つ目の理由は、生成AIの出力に含まれる誤りを、確認しないまま社外に出してしまうリスクがあるためです。生成AIは、事実と異なる内容をもっともらしく出力することがあります。

たとえば、生成AIが作った提案書に存在しない統計や誤った法令名が含まれていると、取引先からの信用を失います。AI事業者ガイドラインも、AI利用者に対して出力の精度とリスクの程度を理解したうえで使うよう求めています。

著作権などの権利を侵害するおそれがある

3つ目の理由は、生成物が他人の著作物に似てしまい、著作権などを侵害するおそれがあるためです。特に画像生成AIでは、既存の作品やキャラクターに似た画像が出力されることがあります。

文化庁は2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」を、2024年7月31日に「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を公表しています。生成物を社外で使う場合の確認手順は、文化庁の資料を参考に決めると安心です。

※文化庁「AIと著作権について」より

部署ごとに判断がばらつき、活用が広がらない

4つ目の理由は、会社の基準がないと、部署や上司によって判断がばらつき、活用が広がらないためです。ある部署では自由に使われ、別の部署では一切禁止されるといった状態になると、会社全体でAIの効果を測れません。

ガイドラインで会社としての基準を示すと、社員は安心して試せるようになり、活用例も部署を越えて共有しやすくなります。なお、外部からの攻撃に備える対策は、ガイドラインとは別に、情報システム部門で検討する必要があります。

AIの導入で起こりうるセキュリティリスクの全体像は、以下の記事で解説しています。

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AIを活用したセキュリティ対策6選|効果の高め方や注意すべきポイント【2026年版】

生成AIガイドラインに盛り込む10項目

生成AIガイドラインの中身は、社員が実際に迷う場面から逆算して決めます。項目ごとに「決めること」を具体的に書くと、読んだ社員がそのまま判断に使えるガイドラインになります。

ここでは、早見表で示した10項目について、決めることと書き方のポイントを解説します。

目的と適用範囲を決める

生成AIガイドラインの最初には、ガイドラインの目的と、誰のどの業務に適用するかを書きます。適用範囲があいまいだと、契約社員や委託先の社員が対象かどうかで判断が分かれるためです。

たとえば、「当社の役員・従業員(正社員・契約社員・派遣社員を含む)が業務で生成AIを使う場合に適用する」のように、対象者を具体的に書きます。委託先に業務で使わせる場合は、委託契約にもガイドラインの遵守を盛り込みましょう。

使ってよいツールと承認の手順を決める

使ってよいツールは、会社が承認したツールとプランの一覧で示します。同じサービスでも、個人向けプランと法人向けプランでは、入力した内容の扱いや管理機能が異なるためです。

許可リストに載せる条件の例は、以下のとおりです。

  • 入力した内容が既定で学習に使われないこと
  • 会社がアカウントを管理できること(SSOなど)
  • 利用規約とプライバシーポリシーを情報システム部門が確認していること

新しいツールを使いたい社員がいる場合に備えて、申請先と承認までの流れも書いておきます。たとえば、Claudeの法人プランの機能やデータの扱いは、Claude Team・Enterpriseの違いで確認できます。

入力してよい情報・入力してはいけない情報を決める

入力してよい情報は、情報の区分ごとに入力の可否を表で示します。「機密情報は入力しない」と書くだけでは、どの情報が機密にあたるか社員が判断できないためです。

区分ごとの入力可否の例は、以下のとおりです。

情報の区分

例

入力の可否(例)

公開情報

自社サイトの掲載内容、公表済みの資料

可

社内情報

社内向けの手順書、議事録

承認済みの法人プランなら可

機密情報

未公表の業績、開発中の製品情報

原則不可(部門長の承認があれば可など)

個人情報

顧客・社員の氏名や連絡先

原則不可

取引先から預かった情報

秘密保持契約の対象の資料

契約で認められた場合のみ可

※区分と可否は編集部による例。自社の情報管理規程の区分に合わせて決める

情報の区分は、既存の情報管理規程の区分と同じ名前にそろえると、社員が迷わずに済みます。

生成物の確認と責任の所在を決める

生成物の扱いでは、事実確認の方法と、社外に出す前に誰が確認するかを決めます。生成AIの出力の責任は、生成AIではなく、使った社員と会社が負うためです。

たとえば、「数値・固有名詞・法令は一次情報で確認する」「社外に出す文書は上長が確認する」のように、確認の手順を具体的に書きます。ただし、すべての出力に上長の確認を求めると活用が進まないため、社外に出すものに絞るのが現実的です。

著作権・商標など権利への配慮を決める

権利への配慮では、生成物を社外で使う前に、他人の著作物・商標・肖像に似ていないかを確認するルールを決めます。生成物が既存の作品に似ていた場合、生成AIで作ったことは侵害を否定する理由にならないためです。

たとえば、「特定の作家名・作品名・キャラクター名を指定して生成しない」「広告や商品に使う画像は、類似の作品がないか確認する」などを書きます。画像生成AIを使う部署がある場合は、確認の担当者も決めておきましょう。

個人情報の取り扱いを決める

個人情報については、入力してよい場合の条件と、入力してはいけない場合を分けて書きます。個人情報を扱う場合は、利用目的の範囲内か、学習に使われない設定かを確認する必要があるためです。

たとえば、「顧客の個人情報は原則入力しない。業務上必要な場合は、氏名などを伏せたうえで、承認済みの法人プランでのみ入力する」のように書きます。人事評価や採用選考に生成AIを使う場合は、別にルールを設けて慎重に扱いましょう。

AIエージェント・自動実行ツールのルールを決める

AIエージェントを使う場合は、AIに任せてよい操作の範囲を決めます。AIエージェントは、ファイルの編集・削除や外部サービスへの送信を、人の確認なしに続けて実行できるためです。

決めておく内容の例は、以下のとおりです。

  • AIに操作を許可するフォルダとサービスの範囲
  • ファイルの削除・外部への送信の前に人が確認するか
  • 社外のWebページやファイルを読ませる場合の注意

たとえば、Claude CodeやCowork、Microsoft 365 Copilotのエージェント機能のように、AIがファイルを直接操作するツールが増えています。社外の文書に仕込まれた指示でAIが誤作動する「プロンプトインジェクション」への備えは、プロンプトインジェクション対策で解説しています。

AIを使ったことの表示を決める

AIの利用の表示では、社外に出す成果物でAIを使ったことを示すかどうかを決めます。取引先や顧客によっては、AIで作った成果物かどうかを知りたいと考える場合があるためです。

たとえば、「顧客向けの文書でAIを使った場合、求められたら利用の事実を説明する」「AIで生成した画像を広告に使う場合は表示する」のように、場面ごとに決めます。取引先との契約でAIの利用が制限されていないかも確認しましょう。

相談窓口と事故が起きたときの報告手順を決める

相談窓口では、判断に迷ったときの問い合わせ先と、事故が起きたときの報告先を決めます。誤って機密情報を入力した場合、報告が早いほど影響を小さくできるためです。

たとえば、「判断に迷ったら情報システム部門に相談する」「誤って機密情報を入力した場合は、24時間以内に上長と情報システム部門に報告する」のように書きます。報告した社員を責めない方針も、あわせて書いておくと報告が集まりやすくなります。

教育と見直しの頻度を決める

最後に、社員への教育と、ガイドラインを見直す時期を決めます。生成AIのツールや機能は短い期間で変わり、作った時点のルールが合わなくなるためです。

たとえば、「入社時と年1回の研修で周知する」「年1回と、新しいツールを導入したときに見直す」のように書きます。見直しの担当部署を決めておくと、ガイドラインが放置されるのを防げます。

【5ステップ】生成AIガイドラインの作り方

生成AIガイドラインは、ひな形を写すだけでは自社の業務に合いません。現状の把握から始め、現場で試してから正式に公開すると、使われるガイドラインになります。

ここでは、作り方を5つのステップで解説します。各ステップの担当と成果物の目安は、以下のとおりです。

ステップ

主な担当

期間の目安

成果物

1. 現状とリスクの把握

情報システム部門

2〜4週間

利用実態の調査結果

2. 作成チームと承認者の決定

経営層

1週間

体制図

3. 素案の作成

作成チーム

2〜4週間

ガイドライン素案

4. 現場での試行と修正

作成チーム・各部署

1〜2ヶ月

修正版と質問集

5. 承認・公開・周知

経営層・人事

2〜4週間

正式版と研修資料

※期間は編集部による目安。会社の規模によって変わる

【STEP1】社内の利用実態とリスクを洗い出す

最初に、社員がどの生成AIを、どの業務で使っているかを調べます。実態を知らずにルールを作ると、現場の使い方に合わないルールになるためです。

たとえば、全社アンケートで「使っているツール」「使っている業務」「入力している情報の種類」を聞きます。あわせて、情報システム部門がネットワークのログで生成AIサービスへのアクセスを確認すると、アンケートで出てこない利用も把握できます。

【STEP2】作成チームと承認者を決める

次に、ガイドラインを作るチームと、最終的に承認する役員を決めます。生成AIのルールは、情報セキュリティ・法務・人事・現場の業務にまたがるためです。

作成チームのメンバー例は、以下のとおりです。

  • 情報システム部門(ツールとセキュリティ)
  • 法務部門(契約・権利・個人情報)
  • 人事部門(就業規則・研修)
  • 現場の代表者(実際の使い方)

作成チームに現場の代表者を入れると、使いにくいルールを素案の段階で見つけられます。

【STEP3】ひな形をもとに自社版の素案を作る

素案は、公的なひな形をもとに、自社のツールと情報の区分に合わせて作ります。ゼロから書くより、項目の抜けを防ぎやすいためです。

たとえば、日本ディープラーニング協会(JDLA)のひな形を土台にし、AI事業者ガイドラインの「AI利用者」の項目で抜けがないかを確認します。社員数が少ない会社は、まず「使ってよいツール」「入力してよい情報」「生成物の確認」「相談窓口」の4項目に絞り、A4で1〜2枚の版から始めましょう。

【STEP4】現場で試し、例外と質問を集めて直す

素案ができたら、1〜2つの部署で試し、現場の質問や例外を集めて直します。机上で作ったルールは、実際の業務で判断できない場面が必ず出てくるためです。

たとえば、「顧客の社名だけなら入力してよいか」「議事録の要約に使ってよいか」といった質問を集め、ガイドラインの本文か質問集に反映します。集めた質問は、全社に公開するときのFAQとしても使えます。

【STEP5】承認・公開し、全社に周知する

最後に、修正したガイドラインを役員が承認し、全社に公開します。公開と同時に研修や説明会を開くと、ガイドラインを読んでいない社員にも内容を届けられます。

公開時は、社内ポータルなど社員がいつでも見られる場所に掲載し、改定日と問い合わせ先を明記します。利用規程として定める場合は、就業規則の変更の手続きも済ませておきましょう。

生成AIガイドラインの作成に使える公的資料5選

生成AIガイドラインは、公的機関や業界団体の資料を参考にすると、抜けのないものを効率よく作れます。2026年には主要な資料の改定が続いており、古い版のまま参考にしないことが大切です。

ここでは、ガイドライン作りに使える公的資料を5つ、2026年10月時点の版とあわせて紹介します。

日本ディープラーニング協会(JDLA)「生成AIの利用ガイドライン」

JDLAの「生成AIの利用ガイドライン」は、企業が自社のガイドラインを作るためのひな形です。社名や対象のサービスを書き換えて使う前提で作られているため、初めて作る会社の土台になります。

2026年10月時点の最新は第1.1版(2023年10月)で、「条項のみ」の版と「簡易解説付」の版があります。画像生成AIを使う会社向けには、画像編(第1.0版・2024年2月)も公開されています。

※2026年10月時点・日本ディープラーニング協会「資料室」より

ただし、第1.1版の公開から3年近くたっており、AIエージェントなどの新しい使い方は含まれていません。新しいツールに関するルールは、自社で補う必要があります。

総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」

AI事業者ガイドラインは、AIを開発・提供・利用する事業者向けに、総務省と経済産業省がまとめた指針です。最新の第1.2版は2026年3月31日に公表され、生成AIを業務で使う企業は「AI利用者」にあたります。

AI利用者に関する事項として示されている主な内容は、以下のとおりです。

  • AI提供者が意図した範囲での適正な利用
  • 個人情報・機密情報の不適切な入力への対策
  • AI提供者が定めたセキュリティ上の留意点と規約の遵守
  • 関連するステークホルダーへの情報提供と説明

※2026年10月時点・経済産業省「AI事業者ガイドライン」より

第1.2版には、チェックリストとワークシート(別添7)も付いています。自社の素案ができた段階で、チェックリストを使って抜けを確認すると効率的です。

デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」

デジタル庁のガイドラインは、政府機関が生成AIを調達・利用する際のルールを定めたものです。行政機関向けですが、生成AIの利活用の促進とリスク管理を表裏一体で進める考え方は、民間企業のガイドライン作りにも参考になります。

2026年10月時点の最終改定日は2026年6月12日で、本文はPDFで公開されています。調達時の確認項目などは、法人プランを選定する際の観点としても使えます。

※2026年10月時点・デジタル庁「デジタル社会推進標準ガイドライン」より

個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」

個人情報保護委員会の注意喚起は、生成AIに個人情報を入力する際の注意点をまとめた資料です。2023年6月2日に公表され、事業者・行政機関・一般の利用者それぞれへの注意点が示されています。

事業者向けには、個人情報を含むプロンプトを入力する場合に、利用目的の範囲内かを確認することなどが示されています。ガイドラインの「入力してよい情報」と「個人情報の取り扱い」の項目を作る際の根拠になります。

※個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」より

文化庁「AIと著作権に関する考え方について」とチェックリスト&ガイダンス

文化庁の資料は、生成AIと著作権の関係について、国としての考え方を示したものです。「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)と、立場ごとの取り組みをまとめた「チェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)が公開されています。

ガイドラインの「権利への配慮」の項目を作る際は、チェックリスト&ガイダンスのうち、AIを利用する立場の項目を参考にすると、確認の手順を具体的に書けます。

※2026年10月時点・文化庁「AIと著作権について」より

なお、国内では2025年9月1日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」が全面施行されています。海外の取引先がある会社は、EUのAI法など、取引先の国の規制もあわせて確認しましょう。

生成AIガイドラインの条文例【自作サンプル】

生成AIガイドラインの条文は、社員が読んですぐに判断できる短い文で書きます。1つの条文に1つのルールを書くと、例外を足すときも直しやすくなります。

ここでは、編集部が作成した条文例を3つの項目で紹介します。条文例は自社の就業規則・情報管理規程に合わせて修正し、法務の確認を受けたうえで使ってください。

入力情報に関する条文例

入力情報の条文では、入力してはいけない情報と、条件つきで入力してよい情報を分けて書きます。入力してよいかどうかの判断が、社員によってばらつくのを防ぐためです。

条文例は、以下のとおりです。

  1. 従業員は、会社が承認した生成AIサービスにのみ業務上の情報を入力する
  2. 従業員は、個人情報・未公表の業績・取引先から秘密として預かった情報を入力してはならない
  3. 前項にかかわらず、部門長が承認した場合は、氏名などを伏せたうえで入力できる
  4. 誤って前2項の情報を入力した場合は、直ちに上長と情報システム部門に報告する

※編集部が作成したサンプル。自社の就業規則・法務の確認のうえで使用してください

生成物の確認に関する条文例

生成物の条文では、確認の手順と、責任を負う人を明確にします。生成AIの出力をそのまま使った場合の責任の所在が、あいまいになりやすいためです。

条文例は、以下のとおりです。

  1. 従業員は、生成AIの出力に誤りが含まれる可能性があることを理解して利用する
  2. 生成AIの出力に含まれる数値・固有名詞・法令は、一次情報で確認してから使う
  3. 社外に提出・公開する成果物は、作成者の上長が内容を確認する
  4. 生成AIの出力を使った成果物の責任は、作成した従業員と所属部門が負う

※編集部が作成したサンプル。自社の就業規則・法務の確認のうえで使用してください

ツールの承認に関する条文例

ツールの承認の条文では、許可リストの管理者と、新しいツールを申請する手順を書きます。許可リストを決めておかないと、社員が個人の判断で新しいサービスを使い始めるためです。

条文例は、以下のとおりです。

  1. 業務で使える生成AIサービスは、情報システム部門が定める許可リストに掲載したものに限る
  2. 許可リストへの掲載は、入力内容の学習利用の有無・アカウント管理の機能・利用規約を確認して決める
  3. 許可リストにないサービスを使いたい従業員は、情報システム部門に申請する
  4. 情報システム部門は、許可リストを年1回以上見直す

※編集部が作成したサンプル。自社の就業規則・法務の確認のうえで使用してください

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生成AIガイドラインを形骸化させない運用のポイント4つ

生成AIガイドラインは、作って公開しただけでは社員の行動は変わりません。ガイドラインの効果は、周知と見直しを続ける運用で決まります。

ここでは、ガイドラインを形骸化させないための運用のポイントを4つ紹介します。

全社研修でルールと使い方を同時に教える

ガイドラインの周知は、文書の配布だけでなく、全社研修で使い方とあわせて教えます。ルールだけを伝えると、社員は「やってはいけないこと」ばかりに目が向き、生成AIを使わなくなるためです。

たとえば、研修で「入力してよい情報を使って議事録を要約する」演習をすると、ルールと使い方を同時に身に付けられます。

ガイドラインを作っても社内に浸透しない場合は、全社向けのAIリテラシー研修を外部に依頼する方法があります。研修会社ごとのカリキュラムや対応ツールは、法人向けAI研修の比較で確認できます。

部署ごとの活用例を集めて追記する

ガイドラインには、禁止事項だけでなく、部署ごとの活用例を集めて追記します。活用例があると、社員が自分の業務での使い方を想像しやすくなるためです。

たとえば、営業部の「提案書の構成案」、人事部の「求人票の下書き」のように、実際に効果があった使い方を社内で共有します。活用例を追記するたびに、入力した情報の区分も添えると、ルールの理解も深まります。

新しいツールや機能が出たら見直す

ガイドラインは、新しいツールや機能を導入するたびに見直します。AIエージェントのように、作成時に想定していなかった使い方が短い期間で広がるためです。

見直しのきっかけの例は、以下のとおりです。

  • 新しい生成AIツールを許可リストに追加したとき
  • 公的なガイドラインが改定されたとき
  • 社内で事故やヒヤリハットが起きたとき

定期の見直しに加えて、上記のきっかけでも見直すと、ガイドラインと実際の使い方のずれを小さくできます。

違反を責めるより、相談しやすい窓口を置く

ガイドラインの運用では、違反を責めるより、迷ったときに相談しやすい窓口を置くことが大切です。違反を厳しく責めると、社員が誤入力を報告しなくなり、事故の発見が遅れるためです。

たとえば、社内チャットに生成AIの相談チャンネルを作り、情報システム部門が回答する方法があります。社内に回答できる人がいない場合は、外部のAI顧問に相談する方法もあります。

AI顧問のサービスは、AI顧問の比較で、相談の方法や料金を並べて確認できます。たとえば、AI参謀の「相談する」AI参謀は、月5万円(税抜)で月2回の定例ミーティングとチャットでの相談を受けられる、中小企業向けのサービスです。

生成AIガイドラインの作成チェックリスト

生成AIガイドラインを作り終えたら、10項目が決まっているかをチェックリストで確認します。項目ごとに担当部署と見直しの時期まで決めると、公開後の運用まで抜けなく準備できます。

ここでは、そのまま使えるチェックリストを紹介します。

項目

確認すること

担当部署の例

目的と適用範囲

対象者に派遣社員・委託先を含めるかを決めたか

人事・法務

使ってよいツール

許可リストと申請の手順を決めたか

情報システム

入力してよい情報

情報の区分ごとの入力可否を表にしたか

情報システム・法務

生成物の確認と責任

社外に出す前の確認者を決めたか

各部門

権利への配慮

画像生成の確認手順を決めたか

法務・広報

個人情報の取り扱い

個人情報を入力できる条件を決めたか

法務

AIエージェントのルール

操作を許可する範囲を決めたか

情報システム

AI利用の表示

社外の成果物での表示方針を決めたか

広報・法務

相談窓口と事故時の報告

窓口と報告の期限を決めたか

情報システム

教育と見直し

研修の時期と見直しの頻度を決めたか

人事・情報システム

※編集部作成

チェックリストの項目がすべて埋まったら、役員の承認を受けて全社に公開しましょう。

生成AIガイドラインに関するよくある質問

生成AIガイドラインの作成を検討する際によく出る質問に回答します。

生成AIのガイドラインと利用規程は何が違いますか?

生成AIのガイドラインは使い方の判断基準を示す文書で、利用規程は社員が守る義務を定めた社内規程です。違反した場合の扱いを決めたい場合は、就業規則や情報セキュリティ規程とつなげた利用規程として定めます。

生成AIガイドラインのひな形はありますか?

日本ディープラーニング協会(JDLA)が「生成AIの利用ガイドライン」をひな形として公開しています。社名や対象のツールを書き換えたうえで、自社の規程と矛盾がないかを確認して使います。

AI事業者ガイドラインは自社のガイドライン作りに使えますか?

AI事業者ガイドラインは、自社のガイドライン作りに使えます。生成AIを業務で使う企業は「AI利用者」にあたり、第1.2版(2026年3月公表)のAI利用者に関する事項とチェックリストで、自社ルールの抜けを確認できます。

中小企業でも生成AIのガイドラインは必要ですか?

中小企業でも、社員が業務で生成AIを使うなら、ガイドラインは必要です。最初は「使ってよいツール」と「入力してよい情報」の2点に絞り、A4で1〜2枚の版から始める方法があります。

生成AIガイドラインはどのくらいの頻度で見直しますか?

生成AIガイドラインは、年1回の定期的な見直しに加えて、新しいツールの導入時や公的なガイドラインの改定時にも見直すのが目安です。見直しの担当部署を決めておくと、更新が止まるのを防げます。

まとめ

生成AIガイドラインの要点は、以下のとおりです。

  • 生成AIガイドラインは、禁止ではなく安全に使える範囲を示す社内ルール
  • 盛り込む項目は、ツール・入力情報・生成物・体制にまたがる10項目
  • 作り方は、現状の把握から現場での試行を経て公開する5ステップ
  • 素案はJDLAのひな形を土台にし、AI事業者ガイドライン(第1.2版)で抜けを確認する
  • 公開後は、研修での周知と定期的な見直しで形骸化を防ぐ

まずは社内の利用実態を調べ、「使ってよいツール」と「入力してよい情報」から決めていきましょう。

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