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DX研修助成金9種|選び方や申請の流れについて【2026年最新】

/著者:AI HACK編集部DX研修
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DX研修助成金9種|選び方や申請の流れについて【2026年最新】

この記事の要約と結論

  • DX研修助成金は研修費用を最大75%削減でき、賃金助成・複数回申請・返済不要など財務負担軽減のメリット多数。人材開発支援助成金(3コース)、東京都DXリスキリング、IT導入補助金など9制度から自社条件に合うものを選定する

  • 選び方の6ポイントは「企業規模・業種で絞る」「研修内容と要件の照合」「DX認定の有無」「助成率/上限額」「申請期限の実現可能性」「eラーニング対応可否」。申請は6ステップ (計画策定→届出→交付決定→実施→実績報告→振込)

  • 注意点は「申請書類の手間」「実施後の報告義務」「支給まで数ヶ月のラグ」「対象研修の制限」。雇用保険未加入・税滞納・出席率不足・対象外研修などは受給できないため事前確認が必要

DX研修を実施したいが、費用がネックで踏み出せない企業は多いのではないでしょうか。国や自治体の助成金を活用すれば、研修費用の最大75%が補助され、コストを大幅に抑えられます。

しかし、「どの助成金が自社に合うのかわからない」「申請手続きが複雑そう」と感じる担当者も多いでしょう。

本記事では、DX研修に使える助成金9種類の特徴や選び方、申請から支給までの流れを解説します。

DX研修を対象にした助成金とは

DX研修を対象にした助成金とは

DX研修助成金は、従業員へデジタル関連スキルを習得させる際に活用できる公的支援制度です。厚生労働省が所管する人材開発支援助成金や、東京都独自のDXリスキリング助成金など複数の選択肢があります。

企業は研修費用や受講期間中の給与の一部を補填してもらえます。経済的負担を抑えながらデジタル人材の育成ができるでしょう。

中小企業であれば経費の45%〜75%が支給されるケースもあるでしょう。助成金と混同されやすい補助金との違いについて、以下にて解説します。

補助金との違い

助成金と補助金はどちらも返済不要の公的資金ですが、受給の確実性と審査方法に明確な差があります。

両制度の最大の違いは、支給が保証されているかどうかです。主な助成金と補助金の違いは以下の通りです。

<助成金と補助金の比較表>

項目

助成金

補助金

主な管轄

厚生労働省

経済産業省・地方自治体

審査方式

要件審査
(条件を満たせば受給可能)

公募審査
(競争倍率あり)

申請期間

比較的長期間

短期間で締め切られることが多い

財源

雇用保険料

一般会計予算

受給の確実性

高い

採択されないケースも多い

補助金は事業計画の革新性や実現可能性が審査対象となり、採択されないケースもあります。DX研修の費用支援を確実に受けたい企業には、要件を満たせば支給される助成金がおすすめです。

DX研修を対象にした助成金9種

DX研修を対象にした助成金9種

DX研修に活用できる助成金・補助金は、国や自治体から複数の制度が用意されています。人材開発支援助成金や、東京都独自のDXリスキリング助成金など選択肢はさまざまです。ここでは、代表的な9種類の制度について紹介します。

<DX研修を対象にした助成金9種>

制度名

助成率

上限額

主な対象

人材育成支援コース

45〜60%

50万円/人

幅広い職業訓練

事業展開等リスキリング支援コース

75%

50万円/人

DX・新規事業向け

人への投資促進コース

75%

50万円/人

高度デジタル人材

東京都DXリスキリング助成金

75%

7.5万円/人(企業上限100万円)

都内中小企業

IT導入補助金

50〜80%

450万円

ITツール導入

ものづくり補助金

50〜67%

3,000万円

製造業・設備投資

キャリアアップ助成金

57万円/人

正社員化

テレワークコース

50%

100万円

テレワーク導入

小規模事業者持続化補助金

67%

200万円

従業員20名以下

人材開発支援助成金:人材育成支援コース

人材育成支援コースでは、業務上必要なスキルを従業員に身につけさせる訓練を行った企業へ、費用と給与の一部が支給されます。

対象となる訓練は10時間以上のOFF-JT(職場外訓練)で、DX関連の研修も幅広くカバーされています。正規雇用の従業員に限らず、契約社員やパート勤務者も支給対象です。

<人材育成支援コースの助成内容(中小企業の場合)>

項目

助成額

経費助成率

45%(賃金要件を満たせば60%)

賃金助成

1人1時間あたり800円(要件を満たせば1,000円)

経費助成の限度額

訓練時間に応じて15万円〜50万円

企業は研修開始の1ヶ月前までに計画届を提出する必要があるため、事前準備の期間を十分に確保しましょう。

出典:人材開発支援助成金|人材育成支援コース

人材開発支援助成金:事業展開等リスキリング支援コース

事業展開等リスキリング支援コースは、新たなビジネス領域への進出やデジタル化・脱炭素化の研修への支援制度です。

2022年12月にスタートした制度で、2026年度末までの期間限定で運用されています。中小企業は経費の75%まで補助を受けられ、AI活用やデータ分析、プログラミングなど実践的な研修が対象です。

<事業展開等リスキリング支援コースの助成内容(中小企業の場合)>

項目

助成額

経費助成率

75%

賃金助成

1人1時間あたり1,000円

経費助成の限度額

訓練時間に応じて30万円〜50万円

対象訓練

10時間以上のOFF-JT

企業は申請時に「事業展開等実施計画」の提出が必要で、人材育成支援コースより審査が厳しい傾向にあります。

出典:人材開発支援助成金:事業展開等リスキリング支援コース

人材開発支援助成金:人への投資促進コース

ITSSレベル3以上の高度なデジタル人材を育成したい企業は、人への投資促進コースを検討してみましょう。

訓練メニューは高度デジタル人材訓練と成長分野等人材訓練の2種類に分かれており、大学院での学び直しも支給対象です。中小規模の事業者であれば費用の75%まで補助を受けられ、受講時間1時間につき1,000円の賃金補填も受けられます。

<人への投資促進コースの利用要件>

  • 情報通信業を主力事業としている
  • 経済産業省のDX認定を取得済みである
  • DX推進指標を所管省庁へ提出済みである

受講可能な講座は経産省認定の「Reスキル講座」や「マナビDX」に掲載されているプログラムに絞られています。サブスクリプション型の研修サービスも支給の対象です。

出典:人材開発支援助成金:人への投資促進コース

東京都DXリスキリング助成金

都内の中小企業がDX人材を育成する際に活用できるのが、東京都DXリスキリング助成金です。

東京都DXリスキリング助成金は、東京しごと財団が運営する制度で、研修費用の75%が助成されます。都内に本社か、主要拠点を構える中小企業が対象です。

<東京都DXリスキリング助成金の概要>

項目

内容

助成率

研修費用の75%

上限額

1企業あたり年間100万円、1人1研修あたり75,000円

対象研修時間

1研修あたり3時間以上10時間未満

対象分野

プログラミング、AI活用、データ分析、UI/UXデザインなど

研修形態

eラーニング、対面研修、オンライン研修すべて対応

企業は研修スタートの1ヶ月前までに申請手続きを済ませる必要があります。

出典:東京都DXリスキリング助成金

IT導入補助金

業務の効率・生産性改善に向けてITツールを導入したい中小規模の事業者には、IT導入補助金がおすすめです。

経産省所管の制度で、通常枠は購入費の50%まで、インボイス枠は50%〜80%まで補助を受けられます。支給上限は、450万円です。

<IT導入補助金の対象経費>

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用料(※最大2年分)
  • 導入関連費用(コンサル・設定・研修など)

クラウドやAI搭載の業務システム導入時の操作トレーニングやデータ活用研修も、補助対象に含まれます。

出典:IT導入補助金

ものづくり補助金

新製品の開発や生産工程の効率化を目指す製造業・サービス業には、ものづくり補助金が適しています。

中小企業庁所管の制度で、設備導入やシステム構築にかかる費用が補助対象です。補助率は通常50%ですが、特定の条件をクリアすれば約67%まで上がります。

<ものづくり補助金の上限額>

上限額

製品・サービス高付加価値化枠

750万円〜2,500万円(特例で3,500万円)

グローバル枠

3,000万円(特例で4,000万円)

DX人材育成の観点では、IoT機器やAIシステム導入に伴う従業員の教育費用も補助対象です。申請時には事業計画書の作成が必要で、審査では新規性や実行可能性がチェックされます。

出典:ものづくり補助金

キャリアアップ助成金

契約社員やパート従業員を正社員に切り替えたい場合は、キャリアアップ助成金の活用を検討しましょう。

厚生労働省が管轄する制度で、有期契約の従業員を正社員へ切り替えた場合、1人につき最大57万円が受け取り可能です。

企業は契約社員やパート従業員にデジタルスキルを身につけさせてから、正社員へ切り替える際に利用できます。

<キャリアアップ助成金の主なコース>

  • 正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度等共通化コース など

申請には雇用保険への加入と、キャリアアップ計画の事前提出が必要です。人材開発支援助成金との併用も検討してみましょう。

出典:キャリアアップ助成金

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

テレワーク・デジタル人材育成を行っている企業には、人材確保等支援助成金のテレワークコースが向いているでしょう。

厚生労働省が管轄する制度で、機器導入や環境整備にかかる費用の30%が補助されます。成果達成による追加支給もあり、上限額は100万円です。

<テレワークコースの対象となる取り組み>

  • クラウドシステムの導入
  • Web会議ツールの活用
  • セキュリティ対策
  • デジタルツールの操作研修 
  • リモートワークスキル習得のための教育 など

申請対象はテレワーク制度を新規導入する企業で、テレワーク稼働率や離職率改善などの成果要件を達成する必要があります。

出典:人材確保等支援助成金(テレワークコース)

小規模事業者持続化補助金

従業員数が少ない事業者が販路拡大やDX化に取り組む際は、小規模事業者持続化補助金が利用できます。

小規模事業者持続化補助金は中小企業庁が管轄する制度で、補助率は約67%です。WebサイトやECサイト構築に伴う従業員の教育費用も補助対象となります。

<小規模事業者持続化補助金の概要>

項目

内容

対象事業者

商業・サービス業:従業員5名以下製造業等:20名以下

補助率

約67%

上限額(通常枠)

50万円

上限額(賃金引上げ枠・後継者支援枠)

最大200万円

インボイス特例

条件クリアで上限50万円上乗せ

申請時は商工会議所などのサポートを受けて、経営計画を作成する必要があります。

出典:小規模事業者持続化補助金

DX研修の助成金を利用すべき5つの理由

DX研修の助成金を利用すべき5つの理由

DX研修助成金には、費用削減以外にもさまざまなメリットがあります。研修経費の補助に加え、賃金助成や複数回申請など人材育成を支援する仕組みが充実した制度です。

ここでは助成金を利用すべき5つの理由を解説します。

研修費用を最大75%削減できる

DX研修助成金を活用する一番の利点は、研修費用を抑えられることです。

事業展開等リスキリング支援コースや東京都DXリスキリング助成金では、中小企業は研修費用の75%まで補助を受けられます。

<研修費用の削減シミュレーション>

項目

金額

研修費用(1人10万円×20名)

200万円

助成額(75%)

150万円

企業の実質負担

50万円

企業は経費助成と賃金助成を組み合わせれば、研修中の従業員給与も一部カバー可能です。

10時間の研修なら1人につき最大1万円の賃金補助も上乗せされるため、コスト削減効果が期待できます。

賃金助成で従業員の給与も補填される

研修費用だけでなく、受講期間中の給与も補助対象となる点がDX研修助成金の魅力です。

人材開発支援助成金では、中小企業なら受講者1名につき時給換算で800円〜1,000円の給与補填を受けられます。10時間の研修であれば1名につき最大1万円、20名なら合計20万円が支給されます。

<賃金助成を受ける際の注意点>

  • 研修は通常の勤務時間中に行う必要がある
  • 休日出勤や残業時間帯の研修は補助対象にならない
  • 給与アップなどの条件を満たすと助成額が上乗せされる

企業は研修後に従業員の待遇改善を計画すれば、より多くの助成を受けられる可能性があります。

複数回申請で段階的に人材を育成できる

支給上限に届くまで繰り返し申請できるため、DX研修助成金は長期的な人材育成計画に適しています。

人材開発支援助成金は1事業所につき年間1,000万円、事業展開等リスキリング支援コースは1億円が上限です。東京都DXリスキリング助成金は年間100万円まで繰り返し申請できます。

<段階的な研修の実施例>

研修内容

第1回

全社員向けのDX基礎研修

第2回

データ活用の専門プログラム

第3回

AI実践トレーニング

同じ従業員が異なる研修を複数回受けることもできるため、企業は各人の習熟度に応じた育成プランを組み立てられます。

返済不要で企業の財務負担が軽減される

助成金は借入とは違い返す必要がないため、企業は財務リスクなしでDX人材育成に取り組めるでしょう。

所定の条件をクリアして支給が確定すれば、受け取った金額を返す必要は一切ありません。中小企業が数百万円の研修費用を自前で用意するのは負担が大きいですが、助成金を使えば実際の出費を大幅に減らせます。

<助成金の特徴>

  • 返済義務がない
  • 財源は雇用保険料のため、事業主が普段支払っている保険料の一部が戻ってくる仕組み
  • 受給実績があると金融機関からの評価が上がる可能性がある

受給後に不正が見つかった場合は返還を求められるため、正しい手順で研修を進めることが大切です。

DX認定取得で助成対象講座が拡大する

経産省のDX認定を取得した企業は、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」で選べる講座の幅が広がります。

DX認定とは、企業のデジタル戦略が経営計画と連動していることを国が認める制度です。

認定を受けていない企業は、経産省の「Reスキル講座」など高度IT人材向けの一部講座しか対象になりません。

<DX認定の有無による違い>

項目

DX認定なし

DX認定あり

対象講座

Reスキル講座など高度IT人材向けのみ

幅広いテーマの講座が対象

研修内容の例

高度なプログラミング・AI開発など

基礎ITリテラシー・部門別専門スキル

DX認定があれば75%の助成率で多様な講座を受講できます。認定には書類申請と審査が必要ですが、助成金の活用幅を広げたい企業にはおすすめです。

DX研修の助成金利用時の注意点4つ

DX研修の助成金利用時の注意点4つ

DX研修助成金では、書類準備の手間や支給までのタイムラグなど、ルールを事前に把握しておくことが重要です。

ここでは、助成金利用時の注意点を4つ紹介します。

申請書類の準備に時間と手間がかかる

DX研修助成金の申請では、数多くの書類作成や計画立案が必要で、かなりの時間と手間がかかります。

企業は事前に職業能力開発推進者を決め、社内の能力開発計画を作成しておくことも求められます。また、人材開発支援助成金では、以下のようなさまざまな書類を提出しなければなりません。

<主な提出書類>

  • 職業訓練実施計画届・訓練実施計画書
  • 経費見積書
  • 登記簿謄本・納税証明書
  • 受講者名簿
  • 職業能力開発推進者の選任届
  • 事業内職業能力開発計画

初回申請の企業は準備だけで1ヶ月以上かかるケースも少なくありません。書類の不備は差し戻しの原因となるため、人事・経理・総務など複数部門で協力して進めましょう。

研修実施後の報告義務が発生する

助成金を受け取るためには、研修終了後に実績報告書の提出が義務付けられています。

実績報告書には研修内容、出席状況、支払い明細、効果測定の結果などを記入し、企業は証拠となる書類を添えて提出します。既成の研修プログラムでは、受講者が全体の8割以上を受講した証明が必要です。オリジナル研修では実施報告書が求められます。

<報告時に必要な書類>

  • 実績報告書
  • 受講証明書または研修実施報告書
  • 賃金台帳・出勤簿
  • 経費の領収書

企業は労働局の調査に備え、関連書類を5年間保管する必要があります。提出期限は研修終了後2ヶ月以内のため、研修中から書類整理を始めておきましょう。

助成金支給まで数ヶ月のタイムラグがある

研修が終わってもすぐに助成金は振り込まれません。助成金の入金には、報告書提出後から1〜2か月、長ければ3〜4か月以上かかる場合があります。

企業は研修費用をいったん自社で負担するため、助成金が届くまでの間は資金繰りに影響が出ることもあります。

<支給までのスケジュール例>

時期

内容

4月

研修実施

6月

実績報告書の提出

8月以降

審査完了・助成金振込

書類に不備があれば審査が長引くため、企業は受給までの期間を想定した資金計画を準備しておきましょう。

対象となる研修内容に制限がある

どんな研修でも助成対象になるわけではなく、内容や形式に一定のルールがあります。

対象となるのは外部機関に委託した研修で、従業員の業務に直結しDX推進につながる内容が条件です。研修時間も人材開発支援助成金は10時間以上、東京都DXリスキリング助成金は3〜10時間未満が求められます。

<助成対象外となる研修>

  • ビジネスマナーや接客スキルの研修
  • 趣味や教養を目的とした研修
  • 通常業務と区別がつかないOJT
  • 社内講師のみで行う研修

人への投資促進コースはITSSレベル3以上や経産省認定講座が条件となるなど、コースごとに対象範囲が異なります。企業は予定している研修が対象かどうか、申請前に労働局や東京しごと財団へ問い合わせておきましょう。

DX研修助成金を選ぶ6つのポイント

DX研修助成金を選ぶ6つのポイント

DX研修助成金は複数の制度があり、それぞれ対象要件や助成率が異なります。自社に合わない制度を選ぶと申請が通らなかったり、受給額が少なくなったりするケースも珍しくありません。

ここでは、最適な制度を選ぶための6つのポイントを紹介します。

自社の企業規模と業種で対象制度を絞る

DX研修助成金を検討する際は、最初に自社の規模や業種が制度の条件に合っているかチェックしましょう。

人材開発支援助成金は資本金3億円以下か従業員300名以下、東京都DXリスキリング助成金は中小企業基本法の基準が適用されます。

<制度別の対象企業規模>

制度

対象企業の要件

人材開発支援助成金

資本金3億円以下または従業員300名以下(業種により異なる)

東京都DXリスキリング助成金

中小企業基本法に定める中小企業

小規模事業者持続化補助金

商業・サービス業:従業員5名以下
製造業等:20名以下

IT導入補助金やものづくり補助金は製造業やサービス業向けの内容が多いため、企業は自社の事業と合っているか確認が必要です。大企業の傘下にある「みなし大企業」は中小企業向け制度を利用できないため、資本関係も事前に確認しておきましょう。

研修内容と各助成金の要件を照合する

予定している研修が助成金の条件に当てはまるかどうかも、申請前に確認しておくべきポイントです。

人材育成支援コースは幅広い訓練が対象ですが、事業展開等リスキリング支援コースはDX推進に関わる研修のみ、人への投資促進コースは経産省認定の「Reスキル講座」等に限られます。

<制度別の対象研修内容>

制度

対象となる研修

人材育成支援コース

職務に関連した幅広い職業訓練

事業展開等リスキリング支援コース

新規事業展開・DX推進に直結する研修

人への投資促進コース

ITSSレベル3以上・Reスキル講座など

東京都DXリスキリング助成金

プログラミング・AI・データ分析・UI/UXなど

条件を満たさない研修で申請しても受給できないため、企業は必ず事前にチェックしておきましょう。

DX認定の有無をチェックする

経産省のDX認定があるかないかで、申請できる助成金の幅が大きく変わります。

DX認定を持つ企業は、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」で受講できる講座が増えます。認定がなければ「Reスキル講座」など上級者向けに限定されますが、認定済みなら基礎ITスキルや各部門向けの研修も75%の補助を受けられます。

認定取得には経営ビジョンやDX戦略などを記載した申請書を提出し、経産省の審査をクリアする必要があります。未取得の企業は、助成金の申請準備と合わせて認定取得も検討してみましょう。

助成率と上限額から最適な制度を判断する

どの制度を選ぶかは、助成率と上限額のバランスが重要になります。

助成率が高ければ企業の負担は減りますが、上限額が低いと複数回に分けて申請する必要があります。賃金助成の有無も選定基準となり、人材開発支援助成金は1人1時間あたり800〜1,000円が支給されますが、東京都の助成金には賃金補助がありません。

<主な助成金の助成率と上限額>

制度

助成率

上限額

人材育成支援コース

45%
(要件を満たせば60%)

1人あたり15〜50万円

事業展開等リスキリング支援コース

75%

1人あたり30〜50万円

東京都DXリスキリング助成金

75%

1人あたり7.5万円(年間100万円)

企業は研修規模や受講人数を考慮して、総支給額がもっとも多くなる制度を選びましょう。

申請期限とスケジュールの実現可能性を確認する

助成金の締め切りと研修の実施時期が合っているか、企業は事前にチェックしておきましょう。

人材開発支援助成金も東京都DXリスキリング助成金も、研修開始1ヶ月前までの申請が必須です。締め切りを過ぎると受け付けてもらえません。

<スケジュール作成時の注意点>

  • 初回申請の企業は準備に2〜3ヶ月かかることを想定しておく
  • 年度の予算上限に届くと募集期間中でも締め切られる場合がある
  • 研修終了後2ヶ月以内に実績報告を提出する
  • 年度末に近い時期の研修は報告書の締め切りに間に合わない恐れがある

企業は余裕を持ったスケジュールを組み、早めに申請しましょう。

eラーニング対応の可否を調査する

eラーニングでの研修を考えている企業は、助成金ごとの対応可否を調べておきましょう。

人材開発支援助成金と東京都DXリスキリング助成金は、一定の条件をクリアすればeラーニングも補助を受けられます。ただしeラーニングは経費の補助のみで、受講中の給与補填は対象外です。

<eラーニングが助成対象となる条件>

  • 講座の内容・時間・提供元が一般に公開されている
  • LMS(学習管理システム)で修了日と学習の進み具合を把握できる
  • 研修機関のWebサイトで講座情報が掲載されている

eラーニングは時間や場所を選ばず受講できますが、対面研修やオンライン研修と比べて支給額は限られます。企業は総支給額を踏まえて研修スタイルを決めましょう。

【6ステップ】DX研修助成金支給までの流れ

【6ステップ】DX研修助成金支給までの流れ

DX研修助成金を受け取るには、決められた手順に沿って申請を進める必要があります。各ステップには期限や注意点があるため、事前に流れを把握しておくことが大切です。

ここでは、申請から支給までの6つのステップについて解説します。

1.職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定を行う

DX研修助成金の申請では、まず職業能力開発推進者を決め、事業内職業能力開発計画を作成することから始めます。

職業能力開発推進者とは、社内で従業員のスキルアップを計画的に進める担当者です。一般的には人事部門の管理職が任命され、企業は選任後に指定の書式で労働局へ届出を行います。

<事業内職業能力開発計画に記載する内容>

  • 会社の経営方針
  • 人材育成に関する基本的な考え方
  • 1年間の訓練スケジュール
  • キャリア相談の実施計画

企業は作成した計画を就業規則への記載や社内掲示板、イントラで公開して従業員へ周知します。準備には2〜4週間ほどかかると想定しておきましょう。

2.研修開始1ヶ月前までに計画届を提出する

推進者の選任と計画作成が終わったら、企業は研修開始1ヶ月前までに計画届を提出します。

提出期限は厳しく、1日でも過ぎると受け付けてもらえません。計画届の提出は紙またはJグランツでの電子申請が可能で、電子申請にはGビズIDが必要です。

<主な提出書類>

  • 訓練計画届および計画書
  • 研修機関の概要資料
  • 費用の見積書
  • 登記簿謄本(3ヶ月以内発行)
  • 納税証明書(直近年度分)
  • 受講予定者リスト

書類の不備で差し戻されると締め切りに間に合わない恐れがあるため、企業は2〜3週間前の提出を目標に準備しましょう。

3.労働局の審査を経て交付決定通知を受け取る

計画届の提出後、労働局での審査がスタートします。

審査には1〜2ヶ月ほどかかり、書類の内容や要件を満たしているかがチェックされます。2026年度からは計画届を出した段階では受付だけとなり、本格的な審査は支給申請のタイミングでまとめて行われます。

<審査についての注意点>

  • 計画届の記載ミスや必要書類の不足は提出の時点でチェックされる
  • 要件に合わないと判断されれば不採択になる
  • 不採択になると、研修を行っても助成金はもらえない

審査を通過すると交付決定通知が届き、企業は計画に基づいた研修を実施できるようになります。初回申請の企業は、わからないことがあれば書類を出す前に労働局へ問い合わせておきましょう。

4.計画に基づいて研修を実施し出席を管理する

交付決定通知が届いたら、企業は計画どおりに研修を進めます。

研修は計画届に書いた内容・日程・受講者で進め、大きな変更があるときは事前に変更届を出します。助成金を受け取るには全研修時間の8割以上に出席する必要があり、出席率が足りない受講者は補助の対象から外れます。

<研修実施中に管理・保管すべき書類>

  • 講師がサインした出席記録
  • 研修で使った資料や撮影した写真
  • 修了を証明する書類
  • 賃金台帳(支払実績の証明)
  • eラーニングの場合はシステムのログ

企業は上記の書類を5年間保存しなければなりません。研修終了後の実績報告に備えて、早めに整理しておきましょう。

5.研修終了後2ヶ月以内に実績報告書を提出する

研修が終わったら、企業は終了日から2ヶ月以内に実績報告書を提出しましょう。

締め切りを過ぎると助成金がもらえなくなる恐れがあるため、企業は研修終了後すぐに書類の準備を始めましょう。

<実績報告書に添付する主な書類>

  • 研修実施についての報告書
  • OFF-JT実施に関する報告書
  • 経費・賃金の助成内訳
  • 修了証明書(既成プログラム)または実施報告書(オリジナル研修)
  • 支払いを証明する領収書・請求書・振込記録
  • 給与の支払いを示す賃金台帳・出勤記録
  • eラーニングでは学習管理システムから取得した修了日・進捗データ

書類の不備があれば再提出を求められ振込が遅れるため、企業は提出前にチェックリストで内容を確認しましょう。

6.審査完了後に助成金が振り込まれる

実績報告書の提出後、労働局によって最終審査が実施されます。

審査では、研修が予定どおり行われたか、出席状況や費用・給与の支払いに問題がないかなどを労働局が確認します。審査には通常1〜2ヶ月かかりますが、不備や確認項目が多いと3〜4ヶ月以上になることもあります。

<助成金支給の流れ>

段階

内容

審査通過

支給決定通知が届く

振込

支給決定から2〜4週間後に指定口座へ入金

要件未達の場合

該当部分が減額または不支給

企業は助成金を受け取った後も関連書類を5年間保存する義務があります。不正受給は返金請求や刑事責任を問われる可能性があるため、正確な申請を心がけましょう。

DX研修の助成金が受けられないパターン

DX研修の助成金が受けられないパターン

DX研修助成金は要件を満たせば受給できる制度ですが、申請が通らないケースも存在します。事前に不支給となるパターンを把握しておけば、申請の無駄を防げるでしょう。ここでは、助成金が受けられない代表的な8つのケースを紹介します。

雇用保険未加入または労働保険料の滞納がある

DX研修助成金を受け取るには、企業が雇用保険に加入し、労働保険料をきちんと納めていることが前提です。

厚労省の助成金は事業主が納める雇用保険料が原資のため、未加入の事業所は申請できません。加入していても労働保険料の支払いが遅れていれば対象外となります。

<雇用保険の加入義務が生じる条件>

  • 31日以上の雇用見込みがある
  • 週20時間以上働く従業員がいる

後から未納が見つかった場合、企業はすでに受け取った助成金を返すよう求められることもあります。申請前に労働保険への加入と支払い状況をチェックし、未納があれば早めに解消しておきましょう。

都税・国税の未納付がある

助成金を申請する際は、都税や国税の支払い状況も細かく確認されます。

人材開発支援助成金では国税、東京都DXリスキリング助成金では都税の納税証明書が必要です。企業は直近年度に未納がないことを示す証明書を、発行から3ヶ月以内のものを用意して提出します。

<未納があると申請できない税金の例>

  • 法人税・消費税
  • 源泉所得税
  • 事業税・都民税
  • 固定資産税

分割払いで納めている途中でも、全額払い終わるまでは助成の対象外です。申請時に払い終わっていても、支給決定の段階で新たな未納があれば助成金は出ません。企業は申請前に税金の支払い状況を確認し、未納があれば先に清算しておきましょう。

研修開始後に遡って申請している

DX研修助成金は研修が始まる前に計画届を出しておくことが必須です。

どちらの助成金も研修スタートの1ヶ月前までに届出が必要で、締め切りを過ぎると受け取れません。

<よくある失敗例>

  • 研修が終わってから助成金があることを知った
  • 書類の準備が遅れて締め切りに間に合わなかった

どんなに良い研修でも事前届出がなければ補助は受けられません。研修日をずらして申請し直すと不正受給と判断されるリスクがあるため、企業は2〜3ヶ月前から準備を始めましょう。

対象外の研修内容を申請している

助成金の対象になる研修にははっきりとした基準があり、条件に合わない内容で申請しても通りません。

DXに直接関連しない研修や、形式が要件を満たさない研修は助成対象外です。企業は申請前に、研修内容が対象になるかどうか確認しておくことが重要です。

<助成対象外となる研修の例>

  • ビジネスマナーや接客、語学の研修
  • 趣味や教養が目的の研修
  • 資格試験の合格だけを目指す対策講座
  • 通常業務と見分けがつかないOJT
  • 社内の従業員が講師となる研修
  • 海外での研修
  • 勤務時間外に無給で行う研修

研修時間も人材開発支援助成金は10時間以上、東京都の助成金は3〜10時間未満が条件です。企業は届出前に労働局や事務局へ対象可否を確認しておきましょう。

過去5年以内の不正受給や法令違反がある

過去5年間に助成金の不正受給を行った企業、または重大な労働関連法令違反があった企業は、助成金の受給資格を失います。

不正受給とは、書類の改ざんや虚偽の申請、実態と異なる報告などにより、本来受けられない助成金を受給した、または受給しようとした行為を指します。

<不正受給に該当する行為の例>

  • 実施していない研修を実施したように偽る
  • 出席していない従業員を出席扱いにする
  • 経費を水増しする
  • 離職理由を偽る

不正が発覚すると全額返還や企業名公表、5年間の受給停止、刑事告訴の対象となることもあります。最低賃金法違反や未払い残業代なども受給の障害となるため、企業は法令遵守を徹底しましょう。

出席率80%未満で要件を満たしていない

DX研修助成金を受給するには、受講者が総研修時間の80%以上に出席することが必須です。

10時間の研修なら8時間以上、20時間の研修なら16時間以上の出席が求められます。基準を満たさない受講者は助成対象外となり、該当者分の助成金は支給されません。

<出席管理のポイント>

  • 遅刻や早退も欠席扱いとなる
  • eラーニングはLMSの受講ログで進捗率80%以上を証明する
  • 業務都合での欠席も認められない

複数日程の研修は1日欠席するだけで出席率が大きく下がるため、企業は受講者に事前に要件を伝え、確実に参加できる環境を整えましょう。

みなし大企業に該当する

中小企業向けの助成金を申請する際、形式上は中小企業の基準を満たしていても「みなし大企業」に該当すると対象外となります。

みなし大企業とは、規模としては中小企業に分類されながら、大企業から経営上の支配を受けている企業です。

<みなし大企業に該当するケース>

  • 単独の大企業が、発行済株式の過半数を保有している
  • 複数の大企業が合計で、発行済株式の3分の2以上を保有している
  • 自社役員の半数以上が、大企業の役員・従業員で構成されている

大企業の子会社や関連会社は対象外となります。自社が該当するか不明な場合は、企業は事前に労働局へ確認しましょう。

同一研修で他の助成金と重複申請している

ひとつの研修に対して、複数の助成金や補助金を併用は原則認められていません。

同じ研修で「人材開発支援助成金」と「東京都DXリスキリング助成金」の同時申請は不可となっています。

<重複申請に関する注意点>

  • 申請時には他の助成金・補助金の受給状況を申告する必要がある
  • 重複が発覚すると両方とも、不支給となるリスクがある
  • 別の研修プログラムであれば、各制度を個別に申請できる

複数の助成金を活用したい企業は、研修内容を分けてそれぞれに適した制度を選びましょう。

DX研修助成金に関するよくある質問

DX研修助成金に関するよくある質問

DX研修助成金について、申請前に多くの企業が疑問を抱くポイントをまとめました。個人事業主の対象可否や派遣社員の扱いなど、よくある質問に回答します。

個人事業主でも助成金は利用できますか?

雇用保険に加入した従業員がいれば、個人事業主でも申請可能です。

人材開発支援助成金は雇用保険適用事業所であれば対象となり、事業形態による制限はありません。東京都DXリスキリング助成金も、主たる事業所が都内にあれば申請可能です。

ただし、事業主本人の受講は対象外で、従業員が研修を受ける場合に限り支給されます。

<申請時の必要書類>

  • 開業届の写し
  • 納税証明書
  • 従業員の雇用保険加入を証明する書類

派遣社員やアルバイトも助成金の対象になりますか?

雇用保険の被保険者であれば、派遣社員やアルバイトも助成対象となります。

<雇用保険の加入条件>

  • 1か月超の雇用見込みがある
  • 週20時間以上働いている

正社員に限らず、契約社員やパートタイマーも含まれます。

ただし、派遣社員の場合は派遣元企業のみが申請できます。派遣先からの申請は認められません。

助成金申請の代行は社会保険労務士に依頼できますか?

助成金の申請手続きは、社会保険労務士(社労士)へ代行を依頼できます。

申請が初めての企業や、人事担当者の手が回らない企業にとって心強いサポートになるでしょう。

<社労士がサポートする業務>

  • 訓練計画届の作成支援
  • 提出書類の準備・確認
  • 労働局への対応
  • 実績報告の取りまとめ

費用は着手金+成功報酬型が多く、成功報酬は受給額の10〜20%が目安です。ただし、書類準備や出欠管理など企業側の対応も必要です。

研修費用を立て替える必要がありますか?

助成金は後払いで支給されるため、研修費用は企業がいったん全額負担します。

助成金は研修終了後に実績報告を提出し、審査を経て支給が決定されます。費用を支払ってから入金されるまで、早くて3〜4か月、遅ければ半年以上かかることもあります。

<支給までの流れ(例:4月に研修実施)>

  • 4〜5月:研修費用の支払い
  • 6月:報告書類の提出
  • 8月:審査終了
  • 9月:入金

複数回の研修や高額な研修を計画する場合は、資金繰りを慎重に検討しましょう。助成金が確実に支給される保証はないため、不支給リスクも想定しておく必要があります。

研修後に従業員が退職した場合でも助成金は受給できますか?

受講者が研修後に退職しても、助成金は受け取れます。

支給要件は、「研修時に雇用関係があること」と「研修を適切に実施したこと」の2点です。

<注意が必要なケース>

  • 企業が研修期間中に解雇や退職勧奨を行うと不支給となる
  • 賃金要件の加算を受ける場合、退職者は加算対象外となる
  • 正社員転換が条件の制度では、短期間で辞めると返還対象になることがある

研修で育てた人材が、すぐ辞めてしまうのは企業にとって損失といえます。企業は研修とあわせて、キャリア支援や待遇改善などの定着策も進めましょう。

まとめ

まとめ

DX研修の助成金は、企業の人材育成コストを大きく軽減できる制度です。人材開発支援助成金やリスキリング助成金など、自社の規模や研修内容に合った制度を選ぶことが重要です。

申請には計画届の提出や必要書類の準備など手間がかかりますが、要件を満たせば研修費用の45〜75%が補助されます。本記事を参考に、自社に最適な助成金を活用してDX人材の育成を進めてください。

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